犯罪・刑事事件の解決事例
#相続登記・名義変更 . #相続人調査 . #遺言

遺言書がない場合に口頭での贈与が認められた案件

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丸山 紀人 弁護士が解決
所属事務所五反田法律事務所
所在地東京都 品川区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

叔父夫婦が相次いで亡くなってしまいました。一昨年に叔父が、昨年には叔母が亡くなりました。叔父夫婦には子供がいませんでした。そこで、近所に住んでいた私が叔父夫婦の身の回りの世話を全て行っていました。そのようなこともあり、叔母は自筆ですが全ての財産を私に残すとの遺言書を作成してくれていました。ところが、叔父夫婦の唯一の資産といえる自宅不動産は先に亡くなった叔父の名義のままでした。そして叔父は遺言書を作成していませんでした。叔父も叔母も兄弟姉妹は亡くなっていますが、甥・姪などが多数います。そのなかには、叔父夫妻の面倒を何も見なかったのに権利だけ主張する人や、ほとんど面識すらない人達もいます。叔父夫婦は私を実の子どものようにかわいがってくれていました。財産が欲しくて面倒を見てきたわけではありませんが、面識すらない人達にまで権利が認められてしまうのは釈然としません。また、叔父や叔母の生前の意思にも反するものだと思います。

解決への流れ

まずは、戸籍を取り寄せ叔父さんと叔母さんの正確な相続人を調査する必要がありました。叔父さんの相続人は20人、叔母さんの相続人は6人いることが分かりました。また、叔母さんの書いた自筆証書遺言については家庭裁判所で検認という手続きをとる必要がありました。さらに、叔父さんと叔母さんの生前の生活状況や言動などを詳しく確認したところ、遺産である自宅不動産については叔父さんの死亡の前に、口頭ですが叔母さんへ贈与していたと判断すべき事情が判明しました。その結果、遺産である自宅不動産は、①贈与により叔父さんから叔母さんへ、②その後、叔母さんの遺言により叔母さんから相談者へ、とそれぞれ所有権が移転し、相談者が単独で権利を取得しているものと判断しました。他の相続人のなかには相談者が叔母さん夫婦の面倒を見てきたことから、相談者が全ての財産を相続することを快く認めてくれる方も多くいました。ところが、一部の相続人のなかからは反対の意見も出てしまいました。そこで、やむを得ず遺産である不動産の登記名義を相談者へと移転する為の訴訟を提起しました。裁判所でも当方の主張が認められ、判決により相談者名義へと移転登記をすることができました。

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丸山 紀人 弁護士からのコメント

今回のケースでは、口頭での贈与が認められ、叔父さんや叔母さんの生前の意思に従った判決を得ることができました。しかし、口頭での約束では後にその存在を立証することが困難となってしまいます。また、今回のケースでも訴訟の提起を余儀なくされるなど手続面での負担も大きなものとなってしまっています。やはり、後の争いを予防するため弁護士などの専門家に相談のうえしっかりとした遺言を作成しておくことをお勧めします。