犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

生前贈与された財産に遺留分減殺請求権を行使し,3000万円を獲得した事例

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河合 早苗 弁護士が解決
所属事務所河合法律事務所
所在地東京都 文京区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

お母様の財産は全て二男に生前贈与されてしまっていて,相続するものがないという長男の方からのご相談です。お母様には,自宅の土地・建物と,相談者の土地と合わせて駐車場を経営する土地,相談者と2分の1ずつで所有する貸ビル,それに預金がありました。不動産は亡くなる3年前,お母様が老人ホームへ入れられるときに二男に贈与されており,その半年後,預金の内3000万円が贈与税の支払いに備えて贈与されていました。駐車場と貸ビルの経営は相談者が当たられていましたので,お母様の生存中は,賃料等の収益の配当金は,不動産の所有権移転後も相談者がお母様の口座に振り込んでいました。

解決への流れ

遺留分減殺請求訴訟では,所有権移転後の賃料配当金はお母様のものか,二男のものか,賃料配当金を二男が引き出していたのが不当利得になるかどうか,遺留分減殺権行使後の果実返還請求の有無等争いとなりましたが,相談者はお母様の口座に振り込んでいた賃料を,お母様が亡くなると,二男に送金することはせず,別口座に保管しておきました。そのプールした金額が約2900万円に達する頃,裁判所は賃料の帰属や果実の返還に触れることなく,二男は相談者に3000万円支払えという判決を下しました。

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河合 早苗 弁護士からのコメント

どうして賃料の問題に触れずに判決を下すことが出来たかというと,生前贈与の遺留分減殺の対象財産は死亡期に近いものから順に減殺することになっているので,不動産贈与後の現金3000万円が遺留分額を満たしておればそれのみが対象となり,不動産やその果実は対象外になってしまうからなのです。訴訟中に駐車場の共同経営を解消していたこともあり,双方とも判決に異議を唱えず,プールしてあった賃料と相殺し,二男は相談者に約100万円を支払うことで問題が全て解決しました。それにしても,判決が既にプールしてあった賃料とそう遠くない額を下したことは,絶妙な判断だったと感じました。