この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
A子さんは夫と結婚し入籍して1週間後に新婚旅行に行きましたが、旅行先のオーストラリアで夫がダイビング中に溺死してしまいました。夫の死亡後悲しみに暮れていましたが、これからの生活のこともあり、夫の遺産についての相談に来られました。
解決への流れ
夫は1人息子で、父親は5年前に亡くなり母親が健在とのことでした。奥さんの委任を受けて母親の住んでいる居宅と宅地は亡くなった父親の名義のままになっていました。夫の母親に照会したところ、母親と息子の間では父親の死亡による相続はしていませんでした。その後、遺産分割の申立てを家庭裁判所に行いました。父親名義の土地と建物を固定資産税路線価や複数の不動産会社に評価してもらい、土地1900万円、建物200万円とすることになりました。父親の遺産総額は土地、建物の合計2100万円となりました。妻の相続分は、夫の父の遺産の相続分は2分の1となりますが、その夫の遺産の3分の2が妻の相続分となりますので、1/2×2/3(妻の相続分)の計算になります、よって相続割合は3分の1となります。母親の相続分は、1/2+1/2(息子の相続分)×1/3(母親の相続分)の計算となりますので、相続分は3分の2となります。遺産の分割内容は、母親は土地と建物を単独取得し、その代償として700万円を息子の妻A子に支払うこととなり、以上の内容で調停が成立しました。
男女間に婚姻する意思があり、たとえたった婚姻届けを提出して1週間であっても法律上は正式な夫婦となりますので、50年連れ添った夫婦と同じ法律上の権利が発生します。そのためA子さんは正式な配偶者となり、相続権も発生します(民法890条)。