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宮崎元議員の不倫相手に「恋人」を寝取られた――こんな告白記事は名誉毀損になる?
2016年02月20日 09時56分

イクメン議員として世間の注目を集めながら、第一子誕生の直前に不倫していたことが報じられ、議員辞職に追い込まれた宮崎謙介・元衆議院議員。その不倫相手とされる女性タレントAさんに「大好きだった恋人を寝取られた」。週刊誌の女性記者が、自らの雑誌でこのような告白をして話題になっている。

週刊誌「女性自身」(光文社/3月1日号)によると、8年前、当時24歳だった同誌の記者Bさんは、同い年の彼氏と付き合っていた。そこに、今回の騒動で注目を集めたAさんがあらわれて、「奇妙な三角関係」がはじまったという。記事には、次のようにBさんの当時の心境や、Aさんと彼氏との関係などがつづられている。

「Aさん(※本名が記されている)は、私という”本命”の存在は知りませんでした。だから、Aさんは私の恋人を故意に寝取ったわけではありません。でも、彼女は彼に一度も『恋人はいないの?』と聞かなかったそうです。彼女がいようが妻がいようが、男が自分に夢中になれば“知ったこっちゃない”女性なのかもしれませんね」

たしかにBさんからすれば、彼氏を寝取られたことは怒り心頭だったかもしれない。だが、既婚者ではなく、政治家という公人でもないAさんの「過去」を、雑誌で暴露するのはやり過ぎのような気もする。名誉毀損にあたらないのか。佃克彦弁護士に聞いた。

イクメン議員として世間の注目を集めながら、第一子誕生の直前に不倫していたことが報じられ、議員辞職に追い込まれた宮崎謙介・元衆議院議員。その不倫相手とされる女性タレントAさんに「大好きだった恋人を寝取られた」。週刊誌の女性記者が、自らの雑誌でこのような告白をして話題になっている。

週刊誌「女性自身」(光文社/3月1日号)によると、8年前、当時24歳だった同誌の記者Bさんは、同い年の彼氏と付き合っていた。そこに、今回の騒動で注目を集めたAさんがあらわれて、「奇妙な三角関係」がはじまったという。記事には、次のようにBさんの当時の心境や、Aさんと彼氏との関係などがつづられている。

「Aさん(※本名が記されている)は、私という”本命”の存在は知りませんでした。だから、Aさんは私の恋人を故意に寝取ったわけではありません。でも、彼女は彼に一度も『恋人はいないの?』と聞かなかったそうです。彼女がいようが妻がいようが、男が自分に夢中になれば“知ったこっちゃない”女性なのかもしれませんね」

たしかにBさんからすれば、彼氏を寝取られたことは怒り心頭だったかもしれない。だが、既婚者ではなく、政治家という公人でもないAさんの「過去」を、雑誌で暴露するのはやり過ぎのような気もする。名誉毀損にあたらないのか。佃克彦弁護士に聞いた。

●ひとの「社会的評価」を低下させる内容かどうか

「名誉毀損にあたるかどうかは、その記事が、ひとの社会的評価を低下させるような内容であるかどうかで決まります」

佃弁護士はこのように述べる。今回の記事についてはどうだろうか。

「特定の女性タレントAさんについて、女性記者Bさんが『私も恋人を寝取られた』と告白しているようですが、この記事がAさんの社会的評価を低下させる内容であるかを判断するには、若干の検討が必要です。

『恋人を寝取られた』という記事である場合、Bさんから見れば『寝取られた』という言い分になるとしても、『Aさんは、その男性にBさんという恋人がいることを知っていたのか?」という問題があります。

もし、AさんがBさんの存在を知らなかったのであれば、Aさんからすれば、ただ『好みの男性と交際した』というだけの話になります。そうした場合、『この記事では、Aさんの社会的評価は低下しない』という理屈が成り立つ余地があるでしょう。

したがって、問題の記事が、『AさんはBさんという恋人の存在を知って割り込んできたのだ』という前提で書かれているかどうかが、名誉毀損の成否に大きく影響を与えると思います。

もっとも、記事の見出しには大きく『寝取られた』と記されているようです。『寝<取る>」という言葉には、<他人のものを奪う>というニュアンスが含まれていると思います。

とすると、見出しを目にした読者は、『Bさんの存在を知りながら、その男性を取った』という意味内容だと受け取りそうです。そうなると、記事本文にどう書かれていようと、見出しのみをもって名誉毀損にあたる、という解釈も成り立つ可能性があります」

●名誉毀損には免責されるケースがあるが・・・

仮に、名誉毀損にあたる場合、どうなるのだろうか。

「たとえ、そういえる場合であったとしても、

(1)記事の内容が公共の利害に関する事項についてのものであり、

(2)公益目的をもって掲載されたものであって、

(3)記事の内容が真実であるか、または、真実でなかったとしてもそれが真実であると信じるについて相当な理由がある

という場合、記事を書いた側は、名誉毀損の責任を負わなくてよいものとされています」

今回の記事については、どう考えられるのだろうか。

「Aさんは、政治家でも高級官僚でもなく、タレントにすぎません。タレントが男性とどのような交際をしているかという問題は、私たちの社会に影響を与えるようなことではありません。とすると、私たちの社会にとって、公に議論する必要があることとは思えません。

そうすると、この記事はそもそも『公共の利害に関する事項』についてのものだとはいえず、(1)の要件を欠き、名誉毀損の免責は認められないということになりそうです。

タレントの男女関係に関するゴシップは、記事としては世間受けするのかもしれませんが、判例を見渡しますと、この(1)の要件のハードルをクリアできずに違法だとされているものがしばしば見受けられます」

佃弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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