10151.jpg
競馬場やウインズ「依存症」対策で希望者に「退場のお声がけ」、本当にやってるの?
2018年02月19日 10時07分
#競馬

「ご来場時に退場を促すお声掛けをご希望のお客様は、インフォメーションへお申し出ください」

2017年4月からJRA(日本中央競馬会)の競馬場やウインズ(場外馬券場)に、こんな文言のポスターが貼られるようになった。ギャンブル依存症に対する取り組みだ。

しかし、「ご来場時に退場を促す」と言っても、主要競馬場には1日万単位の人が訪れる。ウインズだって、G1にもなれば大混雑。そんな中、どうやって実行するのだろうか。そもそも問い合わせはあるのか。JRAに運用を聞いた。

「ご来場時に退場を促すお声掛けをご希望のお客様は、インフォメーションへお申し出ください」

2017年4月からJRA(日本中央競馬会)の競馬場やウインズ(場外馬券場)に、こんな文言のポスターが貼られるようになった。ギャンブル依存症に対する取り組みだ。

しかし、「ご来場時に退場を促す」と言っても、主要競馬場には1日万単位の人が訪れる。ウインズだって、G1にもなれば大混雑。そんな中、どうやって実行するのだろうか。そもそも問い合わせはあるのか。JRAに運用を聞いた。

●2017年の対象者は1人、問い合わせ24件…2018年中に家族申告も可能へ

JRAはギャンブル依存症への取り組みを強化している。2017年10月には当人、12月からは家族からの申告で、インターネットでの馬券販売(PAT)を停止する制度が始まった(https://www.bengo4.com/c_1009/n_7251/)。

これに対し、現地での取り組みが、冒頭のポスターと見回りによる対応だ。JRAによると、希望者には顔写真つきの申請書を提出してもらうそうだ。現在は、本人申請のみで、2018年秋ごろまでに家族からの申請にも対応したい考え。

実績としては、2017年中に受理されたのは1人のみ。ただし、電話窓口には本人や家族からの問い合わせ・相談が24件寄せられたという。

●個人情報へ配慮、限られた職員で共有

申請者の情報は、競馬場・ウインズの関係者などで共有する。悩ましいのは、個人情報の問題だという。

「ギャンブル依存症であるというのは、極めてデリケートな問題。警備の都合上、人数などの具体的な体制については答えられないが、警備を担当するJRAの正規職員の中で氏名や顔写真を共有している」(JRA報道室)

現在の対象者は1人。来るか来ないかも分からない相手に、どれだけの体制をとるのかという難しさもある。「ルートは限られているので、入場ゲートは特に力を入れる。個人情報に配慮しながら、最適な形を模索していきたい」

別の職員は、「自分がギャンブル依存症だと告白するのは勇気がいる。家族に打ち明けることにもなるだろうし、そういう面での抑止効果もあるのではないか」とも話していた。

●地方競馬でも同様の取り組み

JRAと同じ農林水産省が監督する地方競馬でも、JRAと同じ施策が進行中だ。NAR(地方競馬全国協会)によると、場内での声がけは2017年度から実施。JRA同様、こちらも2017年に1人から申し出があったという。

「依存症の相談があれば、各自治体の窓口を紹介しています。そこで解決してしまうことが多いようで、声掛け希望にまではあまり至らないようです」(NAR担当者)

一方、ネット投票については、問い合わせが一定数来ているようだ。地方競馬では、2017年11月に本人申告でのアカウント凍結を開始。2018年4月からは家族申告でも凍結を可能にする予定だという。

取り組みの背景には、政府方針が関係している。政府は、2016年12月のカジノ法(IR推進法)の成立以降、閣僚会議で依存症問題について検討。議員立法による「ギャンブル依存症対策基本法案」も国会に提出されている。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る