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「電気代節約したい」職場で私物スマホ充電、法的リスクは? 仙台家裁事務官が停職3カ月
2025年07月01日 10時53分
#電気窃盗 #通勤手当

通勤手当を不正受給したり、職場で私物のスマートフォンを充電したなどとして、仙台家裁の男性事務官が、停職3カ月の懲戒処分を受けた。

東北放送やミヤギテレビなどによると、男性は2023年から今年3月にかけて、届け出とは異なる通勤方法や経路で通勤して通勤手当約27万円を不正に受け取った。

また、2023年4月から、職場のコンセントを無断使用して、自宅の掃除機の充電式バッテリーやスマホなどの私物を充電していたという。

仙台放送によると、男性は「電気代を節約したかった」と説明したそうで、すでに退職したという。

今回のケースのように届け出とは異なる方法や経路で通勤したり、職場でスマホを充電した場合、どのような法的問題があるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

通勤手当を不正受給したり、職場で私物のスマートフォンを充電したなどとして、仙台家裁の男性事務官が、停職3カ月の懲戒処分を受けた。

東北放送やミヤギテレビなどによると、男性は2023年から今年3月にかけて、届け出とは異なる通勤方法や経路で通勤して通勤手当約27万円を不正に受け取った。

また、2023年4月から、職場のコンセントを無断使用して、自宅の掃除機の充電式バッテリーやスマホなどの私物を充電していたという。

仙台放送によると、男性は「電気代を節約したかった」と説明したそうで、すでに退職したという。

今回のケースのように届け出とは異なる方法や経路で通勤したり、職場でスマホを充電した場合、どのような法的問題があるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

●通勤手当の不正受給、罪に問われる?

——届け出と異なる通勤方法で手当を受給した場合、刑事責任に問われる可能性はあるのでしょうか。

このようなケースでは、勤務先による懲戒処分のみで対応されることが多いと考えられます。

実際に、通勤手当の不正受給を理由に刑事責任が問われたケースは確認できませんでした。しかし、法的には詐欺罪が成立する可能性があります。

詐欺罪(刑法246条1項)は、人を欺いて財物を交付させることで成立する罪です。

今回のように、通勤方法や交通費について偽って申請して、勤務先が錯誤に陥って通勤手当を支給した場合、詐欺罪の構成要件を満たす可能性があるといえるでしょう。

仮に詐欺罪が成立した場合、10年以下の拘禁刑が科されるおそれがあります。

●職場で私物スマホ充電、窃盗罪の可能性

——職場で私物スマホを充電する行為について、法的にはどのように評価されるのでしょうか。

こうした行為は、窃盗罪(刑法235条)に該当する可能性があります。窃盗罪は「他人の財物を窃取した場合」に成立します。

かつては「財物」を有体物(目に見えるもの)に限定しており、電気は「財物」と言えないのではないかという問題がありました。しかし、現行の刑法245条は「電気は、財物とみなす」と明記しています。他人の電気を無断で使用した場合でも窃盗罪が成立します。

今回のケースでも、窃盗罪が成立すれば、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の可能性があります。ただし、実務上は懲戒処分や注意にとどまるケースが多いでしょう。

●一般企業でも懲戒処分の可能性

——今回のような行為は、公務員に限らず一般企業でも見られるケースですが、私物スマホの充電で処分されることはあるのでしょうか。 金額がわずかであっても、職場の規律を乱し、企業に損害を与える行為と評価されれば、懲戒処分や損害賠償責任を問われる可能性があります。

どうしても充電が必要な場合は、あらかじめ事情を説明し、職場の許可を得ることが望ましいでしょう。

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