14690.jpg
麻原死刑囚の四女「父の命令で死にそうになった」、推定相続人から父母の廃除決定…「見えない縛りが消えた」
2017年11月21日 17時40分

オウム真理教の麻原彰晃こと、松本智津夫死刑囚の四女(28)が申し立てた家事審判で、横浜家裁が、松本死刑囚ら父母を四女の推定相続人から廃除する決定を下したことがわかった。決定は10月31日付で、すでに確定している。四女が11月21日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて発表した。四女は会見で「自分の中の見えない縛り、障害が初めて消えた。生きるためにどうしても必要だった」と心境を明かした。

オウム真理教の麻原彰晃こと、松本智津夫死刑囚の四女(28)が申し立てた家事審判で、横浜家裁が、松本死刑囚ら父母を四女の推定相続人から廃除する決定を下したことがわかった。決定は10月31日付で、すでに確定している。四女が11月21日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて発表した。四女は会見で「自分の中の見えない縛り、障害が初めて消えた。生きるためにどうしても必要だった」と心境を明かした。

●「父の命令で死にそうになった」

民法には、遺留分を有する推定相続人から、あらかじめ相続権を奪うことできる制度が定められている(推定相続人の廃除)。今回のケースでいえば、仮に四女が交通事故などで早く亡くなった場合、父母がその遺産を相続できないようになる。四女の代理人をつとめる滝本太郎弁護士によると、子が父母を相手取って申し立てるケースは珍しいという。

決定文によると、横浜家裁は、四女が松本死刑囚らから(1)暴力をふるわれるなど適切な養育を受けられなかった、(2)重大な犯罪によって、安定した環境の下で十分な教育を受けることができなかった――などと判断。松本死刑囚ら父母を四女の推定相続人から廃除することが「相当」と結論づけた。

四女は現在、教団から離れて生活しており、連絡もとっていないという。この日の会見で、子どものころ、父・松本死刑囚から暴力を受けたり、寒い時期に薄着で放置されるなどの虐待を受けていたと告白。「父の命令で死にそうになった」「現代の日本とは思えない環境だった。戦場にいるかのような緊張だった」と振り返った。さらに「問題がある親と縁が切れる制度が必要だ」と訴えた。

●「死刑執行以外に責任をとる方法はない」

会見の質疑応答では「松本死刑囚らをどう思っているのか?」という質問があった。

四女は、父母について「生んでもらった恩はあるが、育ててもらった恩はない」「(松本死刑囚の)死刑執行は望んでいるわけではないが、死刑執行以外に責任をとる方法はない。執行されるべきだ」と述べた。松本死刑囚に対する愛情を示している三女に対しては、「父のことを大事にしすぎていると思う。三女には三女の人生を歩んでほしい」と話した。

今後の活動について、四女は「すごく複雑な立場で、いろいろな人にお世話になっている。その分、社会貢献というか、人の役に立てる仕事ができたらと思う」「一人の人間として生きていきたい」と述べた。現在の職業などについてはノーコメントとした。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る