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「自分のミス」でもお金がもらえる? 先生「反省文」は残業時間に含まれますか
2019年07月04日 10時05分

上司に命じられた業務で遅くまで残ったーー。普通なら残業になると思うでしょう。でも、こんな場合はどうでしょうか。

地方で勤務医をしているという「かもねぎ先生」(@dr_kamonegi)は大学病院1年目のとき、仕事で失敗して上司から「反省文」を書くよう命じられたそうです。

医師の仕事は激務。仕事終わりに書くしかありません。反省文を書いた時間も含めて残業時間にしたところ、翌月の給料にも反映されていたといいます。

「社会人って反省文書いたらお金もらえる」ーー。かもねぎ先生は冗談めかして、当時の驚きを振り返ります。その後、上司が気づき、反省文制度はなくなってしまったそうです。

上司の命令なのだから、業務のうちとも考えられます。一方で、反省なのにお金がもらえて良いのかという素朴な疑問も…。自分のミスに起因する反省文などの作成は、残業に含まれるのでしょうか。寒竹里江弁護士に聞きました。

上司に命じられた業務で遅くまで残ったーー。普通なら残業になると思うでしょう。でも、こんな場合はどうでしょうか。

地方で勤務医をしているという「かもねぎ先生」(@dr_kamonegi)は大学病院1年目のとき、仕事で失敗して上司から「反省文」を書くよう命じられたそうです。

医師の仕事は激務。仕事終わりに書くしかありません。反省文を書いた時間も含めて残業時間にしたところ、翌月の給料にも反映されていたといいます。

「社会人って反省文書いたらお金もらえる」ーー。かもねぎ先生は冗談めかして、当時の驚きを振り返ります。その後、上司が気づき、反省文制度はなくなってしまったそうです。

上司の命令なのだから、業務のうちとも考えられます。一方で、反省なのにお金がもらえて良いのかという素朴な疑問も…。自分のミスに起因する反省文などの作成は、残業に含まれるのでしょうか。寒竹里江弁護士に聞きました。

●反省文を「業務命令」と言えるかは内容による

ーー法律上、労働時間はどのように定義されているんですか?

「法律上の『労働時間』とは、『労働者の行為が、使用者の指揮命令下に置かれていると客 観的に評価し得る時間』と定義されます」

ーーでは、反省文の作成は労働時間と言えるのでしょうか?

「今回のケースでは、反省文の作成自体が、『使用者の指揮命令下に置かれていると評価し得る時間内』であることは明らかですので、労働時間には含まれます(指示・命令もないのに自発的に反省文をしたためる場合は別ですが)。

よって、所定労働時間を超えて反省文を作成したのであれば、残業として、残業手当の 対象となります。

ただし、反省文の作成を『業務命令』と言えるかは状況によって変わってきます」

ーーどういうことでしょうか?

「反省文を、『労働者の思想・良心・信条等にかかわる内的意思の表白(編注:謝罪など)を求めるもの』と考えると、『使用者と言えども労働者の内心の自由を侵害する権利はない』ので、『このような業務命令は特別な根拠規定のない限り認められない』とする旨の判例があります。

一方で、反省文や始末書の作成は多くの場合、『労働者の内的意思の表白』と言うより、失敗の事実を記録し、生じた過誤や損害の原因を明らかにして、再発防止の対策を講ずる等の目的で指示されるものです。

その趣旨から、『使用者が企業秩序を維持し職務規律を保持する権限の範囲内』として、『業務命令の範囲内』とする旨の判例もあります。

とすると、『労働者の内心の自由を侵害する』内容の反省文は『業務命令としては認められない』と考えられますが、『労働者の過誤や違反行為の事実を記録し、その原因を明らかにし、再発防止の対策を講ずる』趣旨であれば、『業務命令の範囲内』となるものと解されます」

ーー目的によっては、業務命令とは言えず、従わなくても良い場合もあるんですね。仮に「内心の自由を侵害する」内容の反省文だったとしても、「使用者の指揮命令下に置かれていると評価し得る時間内」の作業なら労働時間に含まれると。

●反省文でお金は本当にラッキーなのか?

ーーですが、反省なのにお金をもらえて良いのでしょうか?

「『反省文を作成する時間に定時給与や残業手当が支払われる』と言うと、『(自分の過誤 や失敗によって)反省文を書いたらお金(残業代)がもらえる』と思うかも知れませんが、そう喜ぶことでもありません。

反省文や始末書は、労働者の『過誤・失敗・違反の記録』であり、人事や査定の評価資料となるほか、場合によっては懲戒の材料となります。

また、過誤や失敗、違反の内容によっては、使用者や第三者から当該労働者に対する『損害賠償請求権』や『求償請求権』が法的に発生することもありますので、そのような過誤や失敗や違反は起きないに越したことはないでしょう」

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