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「虐待を児童相談所が放置」10歳女児が長崎県を提訴、子どもでも裁判を起こせる?
2015年10月08日 11時41分

児童が母親と祖母から虐待されているとの通報があったにもかかわらず、長崎県の児童相談所が適切な対応を怠り、虐待が続いたとして、長崎市の女児(10)が今年7月、長崎県に慰謝料50万円を求めて、長崎地裁に提訴した。

報道によると、女児は2010年4月ごろ、母親に肩をライターであぶられた。医療機関から通報を受けた児童相談所は母親と面会して指導したが、母親が姿を見せなくなってそのままに。さらに、2014年10月には、女児が母方の祖母から髪をつかまれて、1メートル引きずられた。このことを知った学校関係者の連絡で、関係機関が対応を協議する「要保護児童対策地域協議会」が開かれ、出席者の多くが児童相談所に一時保護を要請した。しかし、児童相談所は応じなかったという。

今回は、女児の親類が弁護士に相談して、「未成年後見人」となった弁護士の判断で提訴したという。10歳女児が原告ということだが、幼い子どもでも裁判を起こすことはできるのだろうか。提訴を可能にした未成年後見人とはどのようなものだろうか。高橋直子弁護士に聞いた。

児童が母親と祖母から虐待されているとの通報があったにもかかわらず、長崎県の児童相談所が適切な対応を怠り、虐待が続いたとして、長崎市の女児(10)が今年7月、長崎県に慰謝料50万円を求めて、長崎地裁に提訴した。

報道によると、女児は2010年4月ごろ、母親に肩をライターであぶられた。医療機関から通報を受けた児童相談所は母親と面会して指導したが、母親が姿を見せなくなってそのままに。さらに、2014年10月には、女児が母方の祖母から髪をつかまれて、1メートル引きずられた。このことを知った学校関係者の連絡で、関係機関が対応を協議する「要保護児童対策地域協議会」が開かれ、出席者の多くが児童相談所に一時保護を要請した。しかし、児童相談所は応じなかったという。

今回は、女児の親類が弁護士に相談して、「未成年後見人」となった弁護士の判断で提訴したという。10歳女児が原告ということだが、幼い子どもでも裁判を起こすことはできるのだろうか。提訴を可能にした未成年後見人とはどのようなものだろうか。高橋直子弁護士に聞いた。

●親から虐待された場合の訴訟などに利用される

「未成年者は、原則として単独で訴訟行為をすることはできません。訴えを提起するためには、その法定代理人が訴えを提起することになります(民事訴訟法31条本文)。

今回のケースは、10歳の女の子ですから、単独で長崎県に対して訴訟を起こすことはできません。女児の未成年後見人に選任された弁護士が、この女児の法定代理人として訴訟を提起しました」

未成年後見人とはどんなものだろう。「未成年を後見する人」ということだが、実際には、どんな手続で選ばれるのだろうか。

「未成年者が訴訟をする場合、親権者である父母が、法定代理人として訴訟行為をするのが通常です。しかし、親が死亡した場合や、本件のように親から虐待を受けた場合等には、未成年者の親族や利害関係人からの申立を受け、家庭裁判所によって、未成年後見人が選任されることがあります」

児童相談所と未成年後見人の関係は、どうなっているのか。

「児童相談所は本来、親から虐待を受けている子どもを保護し、その子のために環境を調整する役割を担っています。しかし、今回の訴訟では、児童相談所が、女児への適切な対応を怠ったと主張され、責任追及をされています。つまり、女児のために連携して対応すべき、親族、未成年後見人と児童相談所とが対立関係に立ってしまっています」

ということは、今後、女児をどう見守っていくかという対応策の相談も難しくなりそうだ。

「訴訟を通して、過去の経緯がある程度明らかになったとしても、訴訟だけでは、女児の抱える問題が直ちに解決されることにはならないでしょう。未成年後見人が中心となって、どのような方向で解決、調整を図るのかが気になるところです」

高橋弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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