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「令和」グッズ続々登場、発表時の文字をそのまま使っても問題ない?
2019年04月17日 09時56分

お菓子にお酒、グラス、Tシャツ…新元号「令和」のグッズが続々と登場し、楽天などのショッピングサイトで検索すると、たくさんの商品が出てくる。

そんなグッズをめぐり、弁護士ドットコムに質問が寄せられている。それは、菅官房長官の元号発表時の文字をトレースしたアイテムが作られているが、問題ないのか、といったものだ。

「令和」グッズはどんなものでも自由に作っていいのか。菅官房長官が掲げた文字をそのまま使っていいのか。佐藤孝丞弁護士に聞いた。

お菓子にお酒、グラス、Tシャツ…新元号「令和」のグッズが続々と登場し、楽天などのショッピングサイトで検索すると、たくさんの商品が出てくる。

そんなグッズをめぐり、弁護士ドットコムに質問が寄せられている。それは、菅官房長官の元号発表時の文字をトレースしたアイテムが作られているが、問題ないのか、といったものだ。

「令和」グッズはどんなものでも自由に作っていいのか。菅官房長官が掲げた文字をそのまま使っていいのか。佐藤孝丞弁護士に聞いた。

●「令和」の文字のみを使用した商品が商標権侵害にあたる可能性は低い

まず、令和を商標登録することは可能なのか。

「元号のみでは商標登録できません。

商標登録がなされるためには、その商標に、自分の商品・サービスと他人の商品・サービスを区別するものいえること(識別力)が必要です。

そして、特許庁における審査においては、元号(現元号であるか否かを問いません)として認識されるにすぎない商標は、識別力がないとされるため、商標登録を受けることはできません(商標法3条1項6号)」

「令和まんじゅう」のような商標登録も難しいのか。

「そのような、他の識別力のない文字等を組み合わせた商標(例えば、指定商品が「饅頭」である場合に、「元号+まんじゅう」とする商標)も、識別力はなく、商標登録を受けることはできません。

もっとも、このような商標であっても、例えば、ある特定の商品やサービスにおいて使用された結果、需要者が特定の者の業務に係る商品やサービスであると認識できるに至っている場合には、識別力があるものとなります。

したがって、そのようなケースでは、他の拒絶理由に該当しなければ、商標登録を受けることが可能となります。ケースバイケースと言ってもいいでしょう。

結局のところ、『令和』のみで商標登録されることがない以上、少なくとも、『令和』の文字のみを利用してグッズを販売する行為が商標権侵害になることはないと考えてよいと思われます」

●通常は著作権侵害の問題も生じない

著作権法の観点からは問題ないのか。

「表現内容によっては、著作権法で保護される可能性があります。

元号そのものを表現したものは、多くの場合、創作性(独創的であったり、クリエイティブだと評価できること)を欠き、著作物でないと判断されると考えます。

なお、書体、字体も、多くの場合、著作物ではないと判断されます。一方で、フォント(書体をデジタル化して、表示や印刷などを可能にしたもの)については、著作権法により保護される場合があります。ただ、これは、元号の記載自体が保護されているわけではありません。

したがって、単に『令和』と記載したグッズが販売されても、通常は著作権侵害の問題は生じないと考えます」

●発表された文字をそのまま使う場合には要注意

ただ、気になるのが、菅官房長官が掲げたものと全く同じものを使用するケースなのだが、どう考えればよいのか。

「このケースについては、慎重に考える必要があると思います。

具体的には、菅官房長官の掲げた文字を使用する際、多くの場合は、テレビ中継映像のキャプチャ画像や、カメラマンの撮影した静止画写真を利用すると考えられます。

そして、映像(多数のコマ=写真の集合)のキャプチャ画像も、静止画写真も、『写真』という著作物(著作権法10条1項8号)に該当すると考えられます。そうすると、この写真の著作物を著作権者であるテレビ局や撮影者の許諾なしにグッズ化することは、厳密にいえば複製権(著作権法21条)等の侵害にあたる可能性があります。

ただ、著作権法上の『引用』(著作権法32条1項)に該当する場合は、侵害行為となりません。引用が認められる要件は、いくつかありますが、そのうちの1つとして、引用部分とそれ以外の部分の『主従関係』が明確であることが必要です。

しかし、元号のグッズを販売するに際して、多くの場合、元号発表の写真等を『従』として使用されていると評価するのは難しいと思われます。ですから、仮に出所を明確に示していたとしても、『引用』の要件を満たさないケースが多いと思われます。

以上の理由から、『令和』グッズに菅官房長官の掲げた文字をそのまま使用する際は、慎重になるべきだと考えます」

※佐藤弁護士の見解は、所属する組織の見解を示すものではありません。

(弁護士ドットコムニュース)

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