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「クレベリン」広告表示に措置命令も、「置き型」は対象外…その理由とは?
2022年01月31日 10時18分

消費者庁は1月20日、「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などと合理的な根拠のない表示で商品を販売したことは景品表示法違反(優良誤認)であるとして、供給元の大幸薬品(大阪府)に対し、表示の取り止めや再発防止などを求める措置命令を出した。

消費者庁の発表によると、対象はいずれも「クレベリン」の商品名で市販されているスプレータイプやスティックタイプの4商品。商品パッケージや自社のウェブサイトで「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」、「身の回りの空間のウイルス・菌を除去するスティックタイプです」などと表示していた。

商品パッケージには、「ご利用環境により成分の広がりは異なります」、「ウイルス・菌のすべてを除去できるものではありません」とも表示されていた。しかし、同庁は、一般消費者が「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などの表示から受ける商品効果に関する認識を打ち消すものではないとしている。

同庁は、同社が提出した資料からも、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものがなかったとして、措置命令に踏み切った。

同社は同日、措置命令について、「誠に遺憾と受け止めており、速やかに必要な法的措置を講じてまいります」とホームページ上で公表している。

また、今回の措置命令の対象に含まれていない「クレベリン置き型」については、東京地裁が「当社から消費者庁に提出した試験結果等が二酸化塩素による除菌・ウイルス除去効果の裏付けとなる合理的根拠に当たることを認め」たとして、2022年1月12日付で措置命令の仮の差止めの決定をしたことも明らかにしている。

景表法違反に当たる優良誤認表示とはどのようなものなのか。また、クレベリンをすでに購入した消費者にはどのような影響があるのだろうか。籔内俊輔弁護士に聞いた。

消費者庁は1月20日、「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などと合理的な根拠のない表示で商品を販売したことは景品表示法違反(優良誤認)であるとして、供給元の大幸薬品(大阪府)に対し、表示の取り止めや再発防止などを求める措置命令を出した。

消費者庁の発表によると、対象はいずれも「クレベリン」の商品名で市販されているスプレータイプやスティックタイプの4商品。商品パッケージや自社のウェブサイトで「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」、「身の回りの空間のウイルス・菌を除去するスティックタイプです」などと表示していた。

商品パッケージには、「ご利用環境により成分の広がりは異なります」、「ウイルス・菌のすべてを除去できるものではありません」とも表示されていた。しかし、同庁は、一般消費者が「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などの表示から受ける商品効果に関する認識を打ち消すものではないとしている。

同庁は、同社が提出した資料からも、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものがなかったとして、措置命令に踏み切った。

同社は同日、措置命令について、「誠に遺憾と受け止めており、速やかに必要な法的措置を講じてまいります」とホームページ上で公表している。

また、今回の措置命令の対象に含まれていない「クレベリン置き型」については、東京地裁が「当社から消費者庁に提出した試験結果等が二酸化塩素による除菌・ウイルス除去効果の裏付けとなる合理的根拠に当たることを認め」たとして、2022年1月12日付で措置命令の仮の差止めの決定をしたことも明らかにしている。

景表法違反に当たる優良誤認表示とはどのようなものなのか。また、クレベリンをすでに購入した消費者にはどのような影響があるのだろうか。籔内俊輔弁護士に聞いた。

●消費者庁は「置き型」についても措置命令を出したかったが…

——どのような場合に景表法違反の優良誤認表示となるのでしょうか。

景表法違反の優良誤認表示は、簡単にいうと、商品やサービスの品質や規格といった内容面で、実際の内容に比べて著しく優良であると示す広告など、一般消費者に誤った情報を与える表示です。

過去には、2013年に有名ホテルが提供する料理について、メニューと違う食材が使用されていたという事例が優良誤認表示として問題になり、それがきっかけとなって景表法の規制を強化する法改正がなされました。

また、2016年には、自動車メーカーが自動車の燃費性能について実際よりも優れた内容で表示をしていた事例が優良誤認表示として大きく取り上げられたことがありました。

——同じクレベリンでも、「置き型」は今回の措置命令の対象に含まれていません。

今回の事例でめずらしい点は、消費者庁から優良誤認表示として措置命令を受けそうになった企業が、命令を受けることで償うことのできない損害が生じるのでそれを避けるため緊急の必要があることと、命令をおこなうべきでないという企業側の主張に一定の法的根拠があることを裁判所に説明して、命令前に裁判所から「消費者庁は措置命令を行ってはならない」という趣旨の決定を出してもらうという手続(措置命令の差止訴訟の提起及び仮の差止めの申立て)をおこなって、それが一部認められているようであるという点です。景表法違反の事例でこの申立てが認められたのは初めてのケースだと思います。

大幸薬品のウェブサイトでの公表資料によれば、消費者庁は、2021年11月26日に「クレベリン置き型」2商品と「スプレータイプ、スティックタイプ」の4商品の合計6商品を対象にして措置命令をおこなうため、法律上求められる命令の宛先となる事業者(今回の場合は大幸薬品)に対して命令案を示して弁明を聞く手続(弁明機会の付与)をおこなったようです。

それに対して、大幸薬品は、上記6商品について、除菌・ウイルス除去効果の裏付けとなる合理的根拠があるので措置命令をおこなうべきではないとして、前述の手続をおこなったところ、東京地裁は2022年1月12日に「クレベリン置き型」2商品については措置命令の仮の差止めを認める決定をおこなったとのことです。

消費者庁がこの決定に不服申立てをしたのか否かは不明ですが、もし不服申立てをしていないのであれば、この決定を受けて消費者庁は「クレベリン置き型」2商品については措置命令をすることができなくなったと考えられます。

●返金や返品に応じることは命じられていない

——措置命令を受けた大幸薬品は、法的措置を講じる方針を明らかにしています。

「スプレータイプ、スティックタイプ」の4商品に対する措置命令の取り消しを求める訴訟を提起して、裁判所でこの4商品に関する表示が優良誤認表示にあたるか否かなどが審理されるものと思われます。

また、措置命令では、「スプレータイプ、スティックタイプ」の4商品に関する表示を取りやめること、また、優良誤認表示であったことを一般消費者に周知すること(通常は日刊新聞への社告掲載での周知が求められます)等が命じられていますが、大幸薬品は、訴訟の結果が出るまでこれらを行わなくてもよいように命令の執行停止を求める手続もおこなうことになるのではないかと思います。

なお、4商品については措置命令がなされてしまったため、大幸薬品は、上記の措置命令の差止訴訟の提起及び仮の差止めの申立ては取り下げることになるものと思われます。

——今回の措置命令で、一般消費者や取引先にはどのような影響があるのでしょうか。

今回の措置命令では、上記のように表示の取りやめや、一般消費者への周知等が命じられていますが、4商品を購入した一般消費者や取引先からの返金や返品の求めに応じることは命じられていません。

措置命令の取消請求訴訟の結果、4商品についての表示が優良誤認表示にあたると裁判所が判断すれば、表示を行った大幸薬品に対して一般消費者や取引先が損害賠償請求等をおこなうことは考えられ、その場合には請求が認められる可能性も否定はできないとは思われます。

もっとも、大幸薬品は、商品に効果があることを訴訟で明らかにしていくというスタンスだと思われますので、現状ではそのような法的責任を追及できるかどうかは不透明です。

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