4655.jpg
女性が男子トイレを使う「今だけ男」禁止のサービスエリアーーもし使うと犯罪になる?
2015年12月27日 08時00分

年末年始の帰省ラッシュやUターンラッシュ。自動車で高速道路を利用する人にとっては、サービスエリアの混雑が悩みの種になりそうだ。特に、女性のトイレは大混雑するかもしれない。そんな中、名神高速道路の吹田サービスエリア(大阪府)では、女性が男子トイレを緊急使用する「今だけ男」を禁じるポスターが掲示され、話題になっている。

吹田サービスエリアの上り線の男子トイレには、「ここは男性用です」「女性は使用しないでください」「『今だけ男』の独自ルール適用もご遠慮ください」と、注意を促す張り紙が掲示されているという。担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「清掃員から女性が入っているという報告を受けて、2014年8月に貼り出しました。その後、女性が入ったという報告はなくなりました」と説明した。

女子トイレに長蛇の行列ができる一方で、男子トイレは空いているという場合、男子トイレを使いたいと思う女性もいるだろう。そんなとき、女性が男子トイレを利用するのは、問題があるのだろうか。今回のようにポスターで使用禁止を明示している場合と、何も掲示していない場合で、違いはあるのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

年末年始の帰省ラッシュやUターンラッシュ。自動車で高速道路を利用する人にとっては、サービスエリアの混雑が悩みの種になりそうだ。特に、女性のトイレは大混雑するかもしれない。そんな中、名神高速道路の吹田サービスエリア(大阪府)では、女性が男子トイレを緊急使用する「今だけ男」を禁じるポスターが掲示され、話題になっている。

吹田サービスエリアの上り線の男子トイレには、「ここは男性用です」「女性は使用しないでください」「『今だけ男』の独自ルール適用もご遠慮ください」と、注意を促す張り紙が掲示されているという。担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「清掃員から女性が入っているという報告を受けて、2014年8月に貼り出しました。その後、女性が入ったという報告はなくなりました」と説明した。

女子トイレに長蛇の行列ができる一方で、男子トイレは空いているという場合、男子トイレを使いたいと思う女性もいるだろう。そんなとき、女性が男子トイレを利用するのは、問題があるのだろうか。今回のようにポスターで使用禁止を明示している場合と、何も掲示していない場合で、違いはあるのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●異性のトイレに入ることは「建造物侵入罪」の可能性も

「異性用のトイレに入ることが法的に問題となるのは、『トイレの管理者の意思に反しているかどうか』という点に帰着します。単に『男性用』と『女性用』に区分されているだけでは、異性のトイレ利用を禁じる管理者の意思が明示されているとは、言えないかもしれません。このような場合はもっぱら、道徳的に考えるしかありません。

一方で、明示的に異性のトイレ利用を禁止している態様の場合は、法的な意味合いで『違法』といえるかもしれません。特にトイレが、明らかに別の部屋として独立している場合などで、異性が進入してくることが明示的に拒絶されていると考えられるとき、形式的には『建造物侵入罪』となる可能性があります」

尾崎弁護士はこのように説明する。

「『建造物侵入罪』が成立するのは、およそ正当な理由がないのに、人の管理する建造物に侵入した場合です。

ここで言う『侵入』とは、管理する人の承諾なく建物に立ち入ることです。通常、サービスエリアなどを管理している人は、異性のトイレに入ることを承諾していません。したがって、『侵入』にあたると考えられるのです」

●「緊急避難」が成立する可能性もあるが・・・

どうしてもトイレを我慢できなかった、という事情があっても、だめなのか?

「『どうしても我慢できなかった』という場合まで、管理者が絶対に承諾していないかというと、必ずしもそうではないかもしれません。その場合、建造物侵入罪は成立しないとも考えられます。

また、こういった場合、刑法における『緊急避難』が成立して、免責されるという考え方もありますが、緊急避難が認められるのは、『自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため』に限られています。

緊急避難に該当するかどうかは、検討の余地があるでしょう。その際には、切迫の程度や代替手段の有無、立ち入った時間(用を足したらすぐに退去したか)などが考慮のポイントになると思われます」

では、今回のような「今だけ男」を禁止するポスターがあって、女性が入ってはいけないことを明示している場合は、そのような告知がない場合と比べて、どんな違いがあるのだろうか。

「トイレの管理者が、禁止の意思を鮮明にしているわけですから、心理的効果は大きいでしょう。前述した『住居侵入罪』に該当するかどうかといった点など、違反者に対する具体的なサンクション(制裁)もやりやすくなるかもしれません」

尾崎弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る