5140.jpg
今や少数「専業主婦」になった理由は? 病、介護、倒産…望まぬ選択と隠れた苦悩
2025年09月06日 10時04分
#ワンオペ #専業主婦 #専業主夫 #介護離職

今や、共働き世帯は専業主婦世帯の2.5倍近くにのぼります。2025年2月に公表された総務省統計局の労働力調査(2024年平均結果)に基づき、労働政策研究・研修機構は「共働き世帯」は1300万世帯、「専業主婦世帯」は508万世帯であり、年々、共働き世帯が増えていると分析しています。

専業主婦(主夫)のいる世帯は少数派となったにもかかわらず、その立場に対する画一的なイメージや誤解は、いまだ社会に根強く残っています。

弁護士ドットコムニュースが「専業主婦・主夫」になった理由を募集したところ、病気や介護、パートナーの要望、あるいは会社の倒産など、意図せずその立場にならざるを得なかった人たちから、社会の無理解に対して切実な声が数多く寄せられました。

今や、共働き世帯は専業主婦世帯の2.5倍近くにのぼります。2025年2月に公表された総務省統計局の労働力調査(2024年平均結果)に基づき、労働政策研究・研修機構は「共働き世帯」は1300万世帯、「専業主婦世帯」は508万世帯であり、年々、共働き世帯が増えていると分析しています。

専業主婦(主夫)のいる世帯は少数派となったにもかかわらず、その立場に対する画一的なイメージや誤解は、いまだ社会に根強く残っています。

弁護士ドットコムニュースが「専業主婦・主夫」になった理由を募集したところ、病気や介護、パートナーの要望、あるいは会社の倒産など、意図せずその立場にならざるを得なかった人たちから、社会の無理解に対して切実な声が数多く寄せられました。

●病気、介護、失業…望まずしてキャリアを絶たれた

やむを得ない事情でキャリアを諦め、「専業主婦・主夫」になった人は少なくありません。

東京都の女性の場合、営業職だった夫(66)が持病の悪化で退職。夫は「専業主夫」となり、管理職として働く女性を支えてくれているそうです。「立場が変わり、主人が家事をやることが自然になってしまいました。今では、帰ればご飯の用意がしてあるという状況です」。

自分や家族の病気、介護がきっかけとなったケースも多く見られました。

「障害児がいるとフルに働けない。幼稚園だと追い出されることもあります」(30代女性・神奈川県)

「両親の遠距離介護のため、職場を欠勤することが多くなり辞職しました。水鳥のように沈まないように水中で必死に足を動かしているように、見えないところで働いているような状況です。家族に理解者がいないという猛烈な孤独感もあります」(60代女性・茨城県)

中には、病気に会社の倒産が重なった人も。

東京都の50代女性は、第二子の出産後に職場復帰したものの、子どもが小児喘息と診断され、看病と仕事で疲れ切った矢先、会社が倒産してしまいます。夫から「しばらく育児と家事に専念したら」と勧められ、専業主婦になったそうです。

●パートでも、カード会社からは「専業主婦」扱い

「専業」という言葉が、その過酷な実態を覆い隠してしまうこともあります。

「専業主婦だから時間あるでしょ? って言われると腹立たしく思います」

そう話すのは、パート勤務の女性です。タイミーなどの隙間バイトで働いていても、カード会社からは「専業主婦」と扱われてしまうといいます。しかし女性の日常は、決して「専業」という言葉が示すようなものではありません。

「義父の車椅子での送り迎え、夫のリモート中の食事、腰痛持ちの夫のマッサージ、買い物の代理、すべて私の仕事です。通常の家事に加え、これだけやることがあると流石に負担です」

●「これは少子化“促進”対策だ」社会への叫び

個人の苦しみは、時として社会構造への強い憤りへと向かいます。

激務の夫を支えながらワンオペ育児を続け、不眠症を発症したという50代の女性は、こう訴えます。

「夫は仕事、私は仕事以外すべて。そうするしか、我が家がうまく回らなかった」

「紆余曲折あって、結果的に専業主婦になったのに、他人から『ラクしてる』なんて言われたくない。それぞれの家庭の事情がある」

そして、その声は社会全体への問いかけへと続きます。

「少子化を止めたいなら、共働きでも専業主婦でもドンドン産めるように手取りを増やし、子どもを預けて働けるように、すべての女性が安心して産み育てることができる環境を整備すべき。

女が結婚しないから、女が産まないから、と責任を押し付けられるのは納得がいかない。国がやってるのは、少子化促進対策にしか見えない。ドンドン国民からお金を奪って貧しくさせている」

●記者考察:「専業主婦・主夫」という言葉ではひとくくりにできない

寄せられた声からは、「専業主婦・主夫」という言葉だけでは到底ひとくくりにできない、多様で複雑な人生の背景が浮かび上がります。

「専業」か「共働き」かという単純な二項対立ではなく、誰もがそれぞれの場所で抱える日々の苦労や努力に目を向け、互いに想像力を働かせることが、より生きやすい社会につながるのかもしれません。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る