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中学生がいたずらで給食に「下剤」入れ、教師が救急搬送…犯罪では?
2017年12月06日 09時59分

愛知県尾張旭市の市立中学校で11月10日、2年の男子生徒が給食に下剤を混ぜ、教師が救急搬送されたと報じられた。

報道によると、男子生徒は教師の豆乳鍋のお椀に2〜3錠の下剤を擦りつぶして入れたといい、食べた教師は口の中がヒリヒリして気持ち悪いと訴え、病院に運ばれた。教師が食べる前に量を減らすために容器に戻した豆乳鍋をおかわりで食べた別の生徒3人も体調不良を訴えた。全員、その後の体調に問題はなかった。

下剤を入れた男子生徒は、いたずらで入れたと認め、反省しているそうだが、ネットユーザーからは、「傷害罪にあたるのでは?」「未成年だから逮捕されないのか?」という声が上がっている。

飲食物に異物を混入して逮捕される事件としては、愛知県東海市の介護施設で昨年10月、お茶に睡眠導入剤を混ぜて、従業員10人を薬物中毒にさせたとして、傷害の罪に問われた元従業員の女性が今年10月に有罪判決を受けている。また、愛知県知多市では今年7月、元夫と長男が飲むお茶のペットボトルに食器用洗剤を混ぜたとして、40代の女性が暴行の疑いで逮捕されている。

今回、中学2年生ということで、刑事責任が問われる14歳に達していたかどうかは不透明だが、他人の飲食するものに、故意に異物を混入させた場合、罪に問われるのはどういうケースなのか。中原潤一弁護士に聞いた。

愛知県尾張旭市の市立中学校で11月10日、2年の男子生徒が給食に下剤を混ぜ、教師が救急搬送されたと報じられた。

報道によると、男子生徒は教師の豆乳鍋のお椀に2〜3錠の下剤を擦りつぶして入れたといい、食べた教師は口の中がヒリヒリして気持ち悪いと訴え、病院に運ばれた。教師が食べる前に量を減らすために容器に戻した豆乳鍋をおかわりで食べた別の生徒3人も体調不良を訴えた。全員、その後の体調に問題はなかった。

下剤を入れた男子生徒は、いたずらで入れたと認め、反省しているそうだが、ネットユーザーからは、「傷害罪にあたるのでは?」「未成年だから逮捕されないのか?」という声が上がっている。

飲食物に異物を混入して逮捕される事件としては、愛知県東海市の介護施設で昨年10月、お茶に睡眠導入剤を混ぜて、従業員10人を薬物中毒にさせたとして、傷害の罪に問われた元従業員の女性が今年10月に有罪判決を受けている。また、愛知県知多市では今年7月、元夫と長男が飲むお茶のペットボトルに食器用洗剤を混ぜたとして、40代の女性が暴行の疑いで逮捕されている。

今回、中学2年生ということで、刑事責任が問われる14歳に達していたかどうかは不透明だが、他人の飲食するものに、故意に異物を混入させた場合、罪に問われるのはどういうケースなのか。中原潤一弁護士に聞いた。

●きちんと服用すれば人体に影響のない下剤でも、傷害罪に問われる可能性

愛知県尾張旭市の中学生生徒は、きちんと服用すれば人体に影響がない下剤を給食に入れていたが、それでも罪に問われる?

「刑法204条にいう傷害罪は、人の生理的機能を害した場合、つまり健康状態を不良に変更して生活機能の障害を引き起こした場合に成立するとされています。したがって、きちんと服用すれば人体に影響がない下剤を給食に入れたとしても、健康状態を不良に変更して生活機能の障害を引き起こしたという場合には、傷害罪という罪に問われる可能性があります。

下剤以外で言えば,睡眠薬等を摂取させて数時間意識障害等を引きここした行為が傷害罪に該当すると判断された例があります(最決平成24年1月30日)」

学校現場で起きた事件だった場合、教育的配慮から逮捕や立件されないということはある?

「そもそも,犯罪を起こしたすべての人が逮捕されるわけではありません。逮捕をする際には、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由のほかに、逮捕の必要性が要求されています(刑訴法199条2項)。逮捕の必要性の有無については、被疑者の年齢や境遇、犯罪がどのようなものか、どの程度重大なものか等の様々な事情を考慮したうえで、逃亡のおそれがあるのか、罪証隠滅のおそれがあるのかを考えて判断されます(刑事訴訟規則143条の3)。

したがって、教育的な配慮をすることも十分あり得ると言えます。ただ、逮捕するか否かは、その点も踏まえて逃亡のおそれがあるか、罪証隠滅のおそれがあるかといった観点から決せられます」

愛知県東海市と愛知県知多市のケースでは、同じ異物混入にもかかわらず、傷害罪と暴行罪とで異なっているが、なぜ?

「傷害罪と暴行罪の違いは、人の生理的機能を害したか否かという点にあります。人の生理的機能を害していれば傷害罪となります。事案の詳細はわかりませんが、傷害罪とされたケースでは被害者の生理的機能が害され、暴行罪となったケースでは被害者の生理的機能が害されたという程度には至らなかったのではないでしょうか」

(弁護士ドットコムニュース)

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