6886.jpg
深夜1時、頼んでない「出前」が自宅へ届いて憤り…嫌がらせを罰せられないか?
2016年05月24日 10時40分

「深夜1時ごろにインターホンが鳴り、突然のことで何ごとかと驚きました」。東京都新宿区の区議・伊藤陽平氏は5月11日のブログで、嫌がらせの被害にあったことを報告した。

ブログによると、自宅に注文した覚えのない中華の出前があったという。店側に確認したが、届け先の住所は間違いなく伊藤氏の家。こうした経験は初めてではなく、過去には頼んでいないのに宅配ピザが届いたこともあったそうだ。

伊藤氏は、これらを第三者からの「嫌がらせ」と判断。「政治家に対する嫌がらせは、人権がない仕事、有名税だから仕方がない、などと黙認されてしまいますが、やはりおかしいと思います」と憤った。そのうえで、意見がある場合は、ブログやSNSなどで連絡してほしいとつづっている。

また、出前した料理店は、伊藤氏が注文していないと説明すると、お金を受け取らず、そのまま帰って行ったという。料理や配達の手間が無駄になった形だ。「嘘」の出前をさせる嫌がらせは、法的に罰せられることはないのだろうか。中西祐一弁護士に聞いた。

●店に対しては罪が成立するが…

「注文した覚えのない出前を他人に届けるといった嫌がらせは、それ自体では犯罪にはなりません。従って、今回の行為は、伊藤氏に対する行為としては、罪に問うことはできません。

もっとも、嫌がらせとセットで金品を要求した場合などは、恐喝罪に問われる可能性がありますし、金品以外の何らかの行動を要求した場合には、強要罪に問われる可能性があります。

また、民事上は、繰り返し同様の行為を行うと、伊藤氏の生活の平穏を害したとして、慰謝料等の支払義務が生じる可能性があります」

では、料理店に対してはどうか。

「刑法233条は、『偽計を用いて,人の…業務を妨害した』場合には、偽計業務妨害罪という犯罪が成立すると定めています。今回の事例では、出前を注文した人物は、伊藤氏ではないのに、伊藤氏のフリをして注文をしていますので、『偽計』を用いているといえます。

また、その結果、料理店側は料理を作ったり、配達したりした時間が無駄になり、他の業務に支障が生じたおそれがあります。従いまして、料理店との関係では、偽計業務妨害罪が成立すると考えられます」

どの程度の罪になるのだろうか。

「偽計業務妨害罪に対する刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています。軽い気持ちの悪戯としては、大きな代償だといえると思います」

中西弁護士はこう述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

「深夜1時ごろにインターホンが鳴り、突然のことで何ごとかと驚きました」。東京都新宿区の区議・伊藤陽平氏は5月11日のブログで、嫌がらせの被害にあったことを報告した。

ブログによると、自宅に注文した覚えのない中華の出前があったという。店側に確認したが、届け先の住所は間違いなく伊藤氏の家。こうした経験は初めてではなく、過去には頼んでいないのに宅配ピザが届いたこともあったそうだ。

伊藤氏は、これらを第三者からの「嫌がらせ」と判断。「政治家に対する嫌がらせは、人権がない仕事、有名税だから仕方がない、などと黙認されてしまいますが、やはりおかしいと思います」と憤った。そのうえで、意見がある場合は、ブログやSNSなどで連絡してほしいとつづっている。

また、出前した料理店は、伊藤氏が注文していないと説明すると、お金を受け取らず、そのまま帰って行ったという。料理や配達の手間が無駄になった形だ。「嘘」の出前をさせる嫌がらせは、法的に罰せられることはないのだろうか。中西祐一弁護士に聞いた。

●店に対しては罪が成立するが…

「注文した覚えのない出前を他人に届けるといった嫌がらせは、それ自体では犯罪にはなりません。従って、今回の行為は、伊藤氏に対する行為としては、罪に問うことはできません。

もっとも、嫌がらせとセットで金品を要求した場合などは、恐喝罪に問われる可能性がありますし、金品以外の何らかの行動を要求した場合には、強要罪に問われる可能性があります。

また、民事上は、繰り返し同様の行為を行うと、伊藤氏の生活の平穏を害したとして、慰謝料等の支払義務が生じる可能性があります」

では、料理店に対してはどうか。

「刑法233条は、『偽計を用いて,人の…業務を妨害した』場合には、偽計業務妨害罪という犯罪が成立すると定めています。今回の事例では、出前を注文した人物は、伊藤氏ではないのに、伊藤氏のフリをして注文をしていますので、『偽計』を用いているといえます。

また、その結果、料理店側は料理を作ったり、配達したりした時間が無駄になり、他の業務に支障が生じたおそれがあります。従いまして、料理店との関係では、偽計業務妨害罪が成立すると考えられます」

どの程度の罪になるのだろうか。

「偽計業務妨害罪に対する刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています。軽い気持ちの悪戯としては、大きな代償だといえると思います」

中西弁護士はこう述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る