8158.jpg
米国で結婚した想田監督夫妻の「夫婦別姓訴訟」、初弁論で国は争う姿勢
2018年09月12日 16時08分

選択的夫婦別姓を求め、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が起こした裁判の初の口頭弁論が9月11日、東京地裁で開かれた(古田孝夫裁判長)。想田監督夫妻は、アメリカで別姓のまま法律婚をしたにもかかわらず、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法に不備があるとして、国を相手取って婚姻関係の確認などを求めて提訴。国は争う姿勢を示した。

選択的夫婦別姓を求め、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が起こした裁判の初の口頭弁論が9月11日、東京地裁で開かれた(古田孝夫裁判長)。想田監督夫妻は、アメリカで別姓のまま法律婚をしたにもかかわらず、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法に不備があるとして、国を相手取って婚姻関係の確認などを求めて提訴。国は争う姿勢を示した。

●「海外で別姓の法律婚した夫婦の婚姻関係を証明できないのは立法不作為」

訴状などによると、想田さんと柏木さんはアメリカ・ニューヨーク州に在住の日本人で、1997年にマンハッタンにあるニューヨーク市庁舎で、夫婦別姓のまま結婚した。海外で結婚する場合は、現地の法律に基づいて行われれば、国内でも婚姻は成立しているとみなされるため、夫妻の結婚は有効に成立している(法の適用に関する通則法第24条)。

しかし、国内では夫婦同姓でないと夫婦の戸籍が作成されないため、法律婚した夫婦であるにも関わらず、戸籍上で婚姻関係を公証できない状態にある。そのため、法律上の不利益を被っているとして、婚姻関係の証明を受ける地位にあるとの確認を求めている。また、国が婚姻関係の証明方法を整備していないことによって被った精神的苦痛に対する慰謝料各10万円の支払いも求めている。

この日の口頭弁論では、夫妻の代理人である竹下博将弁護士が弁論要旨を読み上げ、「外国の法律に従った方式によって別姓のまま結婚した日本人夫婦にについて、長期にわたって婚姻関係を証明する制度を設けていない被告の立法不作為は、婚姻の自由を定めた憲法24条に違反する」などと主張、早急な整備を求めた。

これに対し、国は全面的に争う姿勢を示している。次回、口頭弁論は11月7日に開かれる。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る