17781.jpg
深夜に帰宅した妻にキレて居間まで引きずったーー「1回の暴力」でも離婚理由になる?
2015年07月26日 10時22分

妻の帰宅が飲み会で遅くなったことにカッとなり、はじめて妻に暴力をふるってしまった。妻は離婚したいと言っているが、自分としては関係を再構築したい——。そんな男性の悩みが、インターネットの掲示板に投稿されていた。

投稿者と妻は、結婚7年目。共働きで、1歳の子供がいる。先日、飲み会に行った妻が連絡をよこさないまま、深夜0時近くに帰ってきたことにカッとなり、「我を忘れて」しまった。妻を玄関からリビングまで引きずり、「色々と怒鳴った」。しかし「殴ったり蹴ったりはしていない」という。

「スキンシップの減少や、(セックス)レスの不満が背中を押したのかもしれない」と、投稿者は書き込んだ。妻からは「次は殺されるんじゃないかと思い、あなたと話すと心拍数が一気に上がる。愛情も無くなってしまった」と、離婚の意思を告げられたが、投稿者は離婚を拒否している。

今回のように、カッとなったあげくの「1回だけの暴力」でも、離婚理由になるのだろうか。増田勝洋弁護士に聞いた。

妻の帰宅が飲み会で遅くなったことにカッとなり、はじめて妻に暴力をふるってしまった。妻は離婚したいと言っているが、自分としては関係を再構築したい——。そんな男性の悩みが、インターネットの掲示板に投稿されていた。

投稿者と妻は、結婚7年目。共働きで、1歳の子供がいる。先日、飲み会に行った妻が連絡をよこさないまま、深夜0時近くに帰ってきたことにカッとなり、「我を忘れて」しまった。妻を玄関からリビングまで引きずり、「色々と怒鳴った」。しかし「殴ったり蹴ったりはしていない」という。

「スキンシップの減少や、(セックス)レスの不満が背中を押したのかもしれない」と、投稿者は書き込んだ。妻からは「次は殺されるんじゃないかと思い、あなたと話すと心拍数が一気に上がる。愛情も無くなってしまった」と、離婚の意思を告げられたが、投稿者は離婚を拒否している。

今回のように、カッとなったあげくの「1回だけの暴力」でも、離婚理由になるのだろうか。増田勝洋弁護士に聞いた。

●1回の暴力も離婚理由になる?

「一般論として、身体的暴力が、民法の定める法定離婚原因の1つである『婚姻を継続しがたい重大な事由』(民法770条1項5号)にあたることは、争いがありません」

増田弁護士はこのように説明する。では、その暴力が「1回だけ」か「日常的」かで、裁判所の判断は違ってくるのだろうか。

「日常的に暴力が繰り返されているような事案であれば、離婚が認められるのは当然ですが、1回だけの暴力でも、離婚を認めた裁判例があります。

夫が心身耗弱の状態で、妻を殴打し、傷害を与えたことが1回だけあったという事案で、相手に将来の暴行を予想させ恐怖心を抱かせて、同居を困難にさせた場合には、離婚原因にあたると判断されたのです(福井地判1956年8月27日)」

今回の事案は、どのように判断されるのだろうか?

「『妻を玄関からリビングまで引きずり、色々と怒鳴った。殴ったり蹴ったりはしていない』ということですが、紹介した裁判例とは、殴打も、相手にけがを負わせたなどの傷害結果もない点で異なります。

しかし、近年はDVが社会問題となり、被害者の保護が重視されている現状からすれば、離婚原因にあたるかどうか判断するにあたっても、客観的な傷害結果の有無だけではなく、暴力を受けた側の立場に立って考えるべきでしょう。裁判所の判断も、被害者の精神がどれだけ傷ついたか、どれだけ恐怖心を抱いたかという観点から判断がなされます。

その観点でみると、たとえ1回でも、また、たとえ感情が高ぶるような事情があったとしても、『我を忘れて』『玄関からリビングまで引きずる』行為は、相手方に恐怖心を抱かせる行為として、離婚原因に十分あたりうると考えられます。

一時の感情に流されて、妻や子供を失うことのないよう気をつけたいものです」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る