9818.jpg
隣は「ゴミ屋敷」山積みの犬の糞やカセットコンロ・・・なんとか撤去できないか?
2015年06月17日 12時05分

隣家の住民が敷地内に、生ゴミ・不燃ゴミ・動物の糞を集めて山にしていて、ひどい異臭がする。何か対策として考えられることはないかーー。こんな相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

隣人は、生ゴミ・不燃ゴミ・動物の糞を集めて山積みにしており、夏が近づくにつれ、異臭が漂ってきたという。特にひどいのは、5匹以上飼っていると思われる犬の糞。異臭を漂わせるだけでなく、雨が降れば敷地から漏れ出し、公道や側溝にも流れてくる始末だ・・・。

また、不燃ゴミの中身は卓上コンロ用のカセットボンベが大半だとみられる。ゴミ袋に入ったまま何百本もの使用済みボンベが山積みになっている隣家に対して、相談者は「ガス抜き等していないようなので、これからの気温上昇に向けてとても心配です」と記す。

隣人に苦情を申し立てても、対応してくれないため、鼻をつまんでいるしかない状況だ。こんな場合、ゴミを撤去してもらうには、法的にどんな対処が考えられるだろうか。ゴミ問題にくわしい藤田城治弁護士に聞いた。

隣家の住民が敷地内に、生ゴミ・不燃ゴミ・動物の糞を集めて山にしていて、ひどい異臭がする。何か対策として考えられることはないかーー。こんな相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

隣人は、生ゴミ・不燃ゴミ・動物の糞を集めて山積みにしており、夏が近づくにつれ、異臭が漂ってきたという。特にひどいのは、5匹以上飼っていると思われる犬の糞。異臭を漂わせるだけでなく、雨が降れば敷地から漏れ出し、公道や側溝にも流れてくる始末だ・・・。

また、不燃ゴミの中身は卓上コンロ用のカセットボンベが大半だとみられる。ゴミ袋に入ったまま何百本もの使用済みボンベが山積みになっている隣家に対して、相談者は「ガス抜き等していないようなので、これからの気温上昇に向けてとても心配です」と記す。

隣人に苦情を申し立てても、対応してくれないため、鼻をつまんでいるしかない状況だ。こんな場合、ゴミを撤去してもらうには、法的にどんな対処が考えられるだろうか。ゴミ問題にくわしい藤田城治弁護士に聞いた。

●ゴミであっても隣人の「財物」

「第三者からみて、明らかに『ゴミ』であったとしても、法的には、隣家の住民に『所有権』がある『財物』となります。『財物』かどうかの判断をする際には、その物に客観的な価値があるかは問われません」

藤田弁護士はこのように説明する。つまり、隣家を勝手に掃除してしまったら問題になるのだろうか。

「第三者にとっては『ゴミ』であっても、勝手に処分したり、隣家の敷地に無断で立ち入った場合には、相談者側が法的な責任を追及される恐れがあり、注意が必要です。隣人の『財物』である以上、撤去を求めても応じてくれない場合は、きちんとした手続を踏む必要があります」

具体的には、どのような手続きを踏めばいいのだろうか。

「まず、自分自身で対応する場合には、裁判所の民事調停のほか、都道府県で実施している『公害審査会』での調停・あっせんを利用することが可能です。公害審査会は、市区町村の公害苦情相談窓口へ苦情申立をすることから始まります。そのほか、悪臭を理由にした損害賠償請求をすることも考えられるでしょう。

また、ご相談者が自宅の土地・建物の所有者である場合、所有権に基づく『妨害の予防』を求める訴えによって、不燃物(カセットボンベ)の撤去を求めることも考えられます。隣家が火災を起こすことによって、土地・建物の所有権が『妨害』されることを予防するための請求です。

一方、悪臭については、単に『臭い』というだけではなく、受忍限度を超える必要がありますし、隣家の『ゴミ』によって危険が及ぶことの証明が必要で、なかなかハードルが高いです。

勝訴した場合には、業者に依頼して『ゴミ』を撤去し、その費用を隣家に請求する方法もあります。しかし、『ゴミ屋敷』の所有者の場合、なかなか、お金を払えない可能性もあるでしょう」

●ゴミが撤去された後にも問題が・・・

では、どのように進めるのがよいのだろうか。

「現実的な選択肢としては、行政に対応を求めることでしょう。窓口は先ほど述べた市区町村の公害苦情相談です。しかし、行政が行うにせよ、『所有権』の問題があります。持ち主に対して、自発的に撤去するよう説得することから始めることになります。

隣人が撤去に応じない場合ですが、過去には、道路にあふれ出たことを理由に『道交法違反』で逮捕した例があります。また、最近は、各自治体でゴミを強制的に撤去する手続を定めた条例が作られていますから、その活用が注目されるでしょう」

藤田弁護士は最後にこう指摘した。

「『ゴミ屋敷』問題の難しいところは、法的な手続によって、ゴミが撤去されたとしても、家主の心のケアや生活状況の見直しをしないと、再び繰り返されてしまうところです。民間の福祉団体と市が連携して、家主のケアも含めたゴミの片付けを実施している例もあり、こういった動きが広まることが期待されます」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る